シフトダウンの方法

2007/7/8 更新


ブレーキを踏んでスピードを落としてカーブを曲がり、出口でシフトダウンをして再加速、という人が多いと思います。でも、これだとカーブを曲がる途中は安定せず、スムーズに曲がることができません。カーブの手前であらかじめシフトダウンしてみましょう。すると、とてもスムーズにカーブを曲がることができます。しかしカーブの手前で減速しながらのシフトダウンはうまくできない人が多いと思います。そこで、ここではシフトダウンをうまくやる方法についてお話しようと思います。

なお、記述している操作手順は、あくまで超スローモーションで見たらこの順番という程度のものです。特に5以降は、ほとんど時間差なしの絶妙なタイミング、かつ各ペダルを踏み込む量や期間も絶妙でないとうまくいきません。

1.シフトダウンの基本技「ブリッピング」

シフトダウンをすると、クラッチをつなぐ際のショックが大きいですよね。これはクラッチのタイヤ側の回転に対して、エンジン側の回転が低くなってしまうためです。それを吸収するために半クラを使うのが普通なのですが、これはクラッチに負担をかけますし、時間がかかるためにあまり良い方法とは言えません。そこでクラッチをつなぐ前にアクセルを軽くあおってみてください。そうするとエンジン側の回転があがります。そしてエンジン側とタイヤ側の回転が合った頃にクラッチをつなぎます。回転が完全にあっていれば、クラッチをスパッとつないでもまったくショックはありませんし、しかもすばやく操作を終了できます。

シフトダウンの基本は、アクセル操作です。クラッチは、アクセルで吸収しきれない分を補う程度に考えてください。クラッチにたよるだけでは、いくら丁寧な操作をしてもスムーズには行きません。 これは直線を走っているときにも練習できます。まずアクセルを煽って回転を合わせる感覚を身につけてください。

・操作手順

1.クラッチを切る
2.クラッチを切った状態でギアを下げる
3.クラッチを切った状態でアクセルを煽る
4.クラッチをつなげる


2.ブレーキを踏みながらのブリッピング、「ヒールアンドトゥ」

通常、減速時には右足はブレーキを踏んでいますね。この状態でシフトダウンするとブリッピングできないじゃないかと思われるかもしれません。それをむりやりやるのがヒールアンドトゥです。つま先でブレーキを踏みながら、かかとでアクセルを煽ります。ヒールとトゥの両方を使うのでヒールアンドトゥと呼ばれます。これは最初はかなり難しく感じると思います。ひたすら練習あるのみです。信号で停車する際などに練習しましょう。前の車に追突しないように十分な余裕をもってやってくださいね。

ところで、ヒールアンドトゥというのは、サーキットなどで速く走るための方法であり、公道でやるなど危険極まりないという話をよく聞きます。はっきりいって、これは嘘です。危険極まりないのは下手な操作をした場合であり、ヒールアンドトゥそのものは危険でも何でもありません。きちんとできるのであれば、むしろ安全運転のために役立ちます。街中を制限速度内で走行している場合でも、ヒールアンドトゥすることで、よりスムーズなシフトダウンが可能です。ヒールアンドトゥは高速状態から減速する場合に、フルブレーキングをきっちり保った状態でアクセルを煽るテクニックだと思われている方が多いようですが、そんなことはありません。ヒールアンドトゥは、ブレーキの踏力を一定に保った状態で、シフトダウンの回転あわせのために必要なだけアクセルを煽るテクニックです。フルブレーキングだろうとブレーキが微妙に効いている状態であろうと、それを一定に保って必要なだけアクセルを煽れるようになりましょう。

・操作手順

1.ブレーキを踏む
2.ブレーキを踏んだ状態でクラッチ切る
3.クラッチとブレーキを踏んだ状態でギアを下げる
4.クラッチとブレーキを踏んだ状態でさらにアクセルを煽る
5.ブレーキを踏んだ状態でクラッチつなげる


3.シンクロをいたわる「ダブルクラッチ」

ブリッピングすることでクラッチの前後の回転を合わせる話を1でしました。実はクラッチ以外にも回転を合わせる必要がある個所があります。それはクラッチの先にある変速機(ギアボックス)です。変速機では、タイヤ側とクラッチ側で回転が合わないとギアを入れることができません。シフトダウンする際には、クラッチの場合と同様にクラッチ側の回転を高くしてやらないとタイヤ側と回転が合わないためにギアは入りません。でも、普段そんなことを気にすることなくギアを入れることができるじゃないかと思われるかもしれません。これは、現代の車には、ギアの回転を合わせてくれる「シンクロメッシュ」という機構が付いているからです。シフトダウンでギアを入れる際、「ゴク」といった感触があると思いますが、これがシンクロが回転合わせをしている手応えです。これのおかげで容易にシフトチェンジができるようになっています。

このシンクロに頼らずに自分で回転を合わせてシフトダウンするのがダブルクラッチの目的です。これがうまく行くと、ギアを入れる際、「ゴク」という硬い感じではなく、「スッ」とほとんど手応えなく瞬間的にギアを入れることができます。

変速機のクラッチ側の回転を高くするには、やはりアクセルを使います。でも、1のブリッピングと同じようにクラッチを踏んだままでいくらアクセルをあおっても、回転が上がるのはクラッチまでとなり、変速機までは伝わりません。
そこでギアを抜いてニュートラルにした状態で一度クラッチをつないでやります。この状態でアクセルを煽ると、変速機まで回転が伝わることになります。回転があったところでもう一度クラッチを踏んでギアを入れると「スッ」と行くわけです。一連の作業を滑らかに行えば、1のクラッチの回転合わせも兼ねる事ができます。2回クラッチを使うのでダブルクラッチと呼ばれます。 ちなみにダブルクラッチは、シンクロをいたわるのが主目的であり、決してすばやいシフトダウンを可能にするものではありあません。シンクロに頼ってシングルクラッチで無理やり入れた方が操作の時間自体は短い場合が多いです。モータースポーツをやる人では、サーキットではシングルクラッチで、一般道ではダブルクラッチという人も多いと思います。

・操作手順

1.クラッチを切る
2.クラッチを切った状態でギアを抜く
3.クラッチをつなげる
4.クラッチがつながり、ギアがニュートラルの状態でアクセルを煽る
5.クラッチを切る
6.クラッチを切った状態でギアを下のギアに入れる
7.クラッチをつなげる

4.シフトダウンの1つの完成形、「ヒールアンドトゥ」+「ダブルクラッチ」

2のヒールアンドトゥと3のダブルクラッチを組み合わせた操作が、美しいシフトダウンとしてもてはやされます。でも、正直これは面倒ですね。

・操作手順

1.ブレーキを踏む
2.ブレーキを踏んだ状態でクラッチ切る
3.ブレーキとクラッチを踏んだ状態でギアを抜く
4.ブレーキを踏んだ状態で一旦クラッチをつなげる
5.ブレーキを踏み、クラッチはつなげた状態でアクセルを煽る
6.ブレーキを踏んだ状態で再度クラッチを切る
7.ブレーキとクラッチを踏んだ状態でギアを下のギアに入れる
8.ブレーキを踏んだ状態でクラッチをつなげる


5.ダブルクラッチの発展形「スーパーシングルクラッチ」(仮称)(^^;

1回のクラッチ操作でダブルクラッチと同じ効果を出そうというものです。特に呼び方は無いようなので、適当に名前をつけてみました。

ここでのポイントは、ギアを抜く際のクラッチを省略することにあります。でも、減速時にクラッチを踏まずにギアを抜こうとしても、ギアはしっかりとかみ合っているため、そう簡単には抜けません(無理やり抜けないことはないですが)。そこで、ギアを抜く前に、まずアクセルを煽ります。すると、ほんの一瞬なのですが、ギアに遊びが出来る瞬間ができます。その瞬間にギアを抜きます。ここでギアを抜いた状態は、実はダブルクラッチでアクセルを煽った直後と同じ状態になっていることがポイントです。クラッチをつないだままアクセルを煽ったのですから、変速機のクラッチ側はギアを抜いた後にちゃんと回転が上がってくれます。あとはダブルクラッチと同様に、クラッチを踏んでギアを入れます。 この方法は、一連の動作に全く無駄がありません。タイミングが合えば、シフトショックが全くなくて瞬間的なシフトダウンが可能です。通常のシングルクラッチによるシフトダウンでは、シンクロが合うのに若干時間がかかるのですが、この方法では3速から2速あたりの場合でもニュートラルで止める必要はなく、抜くのから入れるまで一気に「スカッ」とほとんど手応えなく操作することができます。しかも1回のクラッチ操作なので、ダブルクラッチより断然楽です。

ただし難易度はかなり高くなります。まずはクラッチを踏まずにブリッピングでギアを抜く練習からです。これがスムーズに出来るようになったら、続いてクラッチを軽く踏んでギアを入れてみます。ここで抜く操作から入れる操作までほぼ一気に行くところがポイントです。ニュートラルで止めると、回転が上がりすぎたりして逆に入れにくくなってしまいます。完全に回転が合えば、力を入れなくてもスッと行きますので、そのタイミングを見つけてください。そしてクラッチ操作もすばやく終了しましょう。ギアが入った瞬間と同時にクラッチをつなぎ終わっているのが理想です。すべての動作はほぼ同時で、スローモーションで見たらこの順番という程度の時間差です。 回転計の針が無駄な動き(ギアを抜いた際に一旦回転が落ちる、アクセルを煽りすぎて回転が上がりすぎるなど)を一切せず、次の位置でピタッと止められるようになるまで練習しましょう。このスーパーシングルクラッチなら、それが可能です。

この方法は、街乗りのでのスムーズなシフトダウンのためから、全開走行におけるタイムアップのために至るまで、あらゆる場面で使えます。しかもミッション、クラッチ、ドラシャなどの駆動系、さらにはエンジンまでいたわってくれる本当に使えるテクです。ぜひ体得して下さい。ダブルクラッチができるようになっても別にどうってことないですが、このスーパーシングルクラッチを使いこなせるようになれば、本当に世界が変わります。

・操作手順

1.クラッチはつながったままアクセルを煽る
2.クラッチはつながったままギアを抜く
3.クラッチを切る
4.クラッチを切った状態でギアを下のギアに入れる
5.クラッチをつなげる

・動画: スーパーシングルクラッチ

4->3->2の操作を、低めの速度でゆっくり目にやったときの様子です。一番最初の動作がアクセルのブリッピングであることに注目してください。


6.シフトダウンの理想形「ヒールアンドトゥ」+「スーパーシングルクラッチ」

5の操作にヒールアンドトゥを組み合わせた操作が市販車におけるシフトダウンの理想形だと思っています。

・操作手順

1.ブレーキを踏む
2.ブレーキを踏みクラッチはつながったままさらにアクセルを煽る
3.ブレーキを踏みクラッチはつながったままギアを抜く
4.ブレーキを踏んだ状態でクラッチを切る
5.ブレーキとクラッチを踏んだ状態でギアを下のギアに入れる
6.ブレーキを踏んだ状態でクラッチをつなげる

・動画: ヒールアンドトゥ+スーパーシングルクラッチ

3->2の様子です。 ブレーキ上にある右足の動きがよく見えないですが、クラッチの左足よりも先に右足が動いてブリッピングしてることが分かると思います。シフトレバーを動かす左手は、少し力が入りすぎな感じですね。(^^;でも決して無理やり入れてはおらず、ダブルクラッチ効果でスカッと吸い込まれるように2速に入ってます。


7.クラッチを使わないシフトダウン「クラッチレスシフト」

クラッチをまったく使わずにシフトダウンを行うものです。回転数がしっかりあっていれば、クラッチを踏まなくてもシフトチェンジ可能なんです。5で書いた方法ですが、アクセル操作とシフトレバーの操作タイミングが完璧ならば、クラッチを全く踏まなくても実はシフトダウン可能です。 しかし、この方法では少しでも回転が合わないと、ギアを痛めてしまいます。さすがに百発百中で成功させるのは難しいので、この方法はお勧めできないですが...

ちなみに、ここでいう「クラッチレスシフト」は、あくまで5のスーパーシングルクラッチでギアを入れる際のクラッチ操作を省略した場合で、回転計の針が一切無駄な動きをしなかった場合のみを指しています。クラッチレスシフトくらい普通にできるよと言われる方は結構いますが、話を聞いてみると、ほとんどの場合ダブルクラッチのクラッチ省略パターン(一旦ギアを抜いたニュートラルの状態でアクセルを色々操作して回転あわせするパターン)でシフトダウンしているようです。これでも確かにクラッチは使ってないかもしれませんが、操作に時間がかかり、しかもしシンクロをいためるだけで意味はないですよね。クラッチレスシフトとして大多数の人が思い浮かべるこのダブルクラッチのクラッチ省略パターンは、ある意味ニセモノであるということを強調しておきたいと思います。クラッチレスシフトはタイムアップのためのテクニックとしてWRCなどで普通に使われてたりしますが、そこでわざわざダブルクラッチのクラッチ省略パターンのように時間のかかることをするはずがありません。

・操作手順

1.クラッチはつながったままアクセルを煽る
2.クラッチはつながったままギアを下げる

・動画: クラッチレスシフト

5->4->3->2の様子です。 一番最初にブリッピングを行うのみで、その後ギアを抜いたニュートラルの状態でアクセル操作をしての回転あわせをしていないことに注目してください。2速に入れるときは回転がわずかに合ってない感じかな。


8.お約束「ヒールアンドトゥ」+「クラッチレスシフト」

7の操作にお約束のヒールアンドトゥを組み合わせた操作です。

・操作手順

1.ブレーキを踏む
2.ブレーキを踏みクラッチはつながったままさらにアクセルを煽る
3.ブレーキを踏みクラッチはつながったままギアを下げる<

・動画: ヒールアンドトゥ+クラッチレスシフト

3->2の様子です。これも5と同じで、ブレーキ上にある右足がよく見えません。


9.究極?のシフトダウン「左足ブレーキ」+「クラッチレスシフト」

8の操作ですが、クラッチを使わないで左足が空いているのに、わざわざヒールアンドトゥする必要ないですよね。左足が空いているのだから、それをブレーキに使えばよいのです。それぞれの足がブレーキ操作とアクセル操作に専念できる訳です。これがシフトダウンの究極の姿だと思います。WRCなんかではこれが普通のようですね。まあ、ラリーカーに使われているドグミッション(ドグクラッチ式ミッション。シンクロ機構がない)はそもそもクラッチレス操作を前提に作られてますから、力技で操作してもそれほど問題はないようですが。

・操作手順

1.左足でブレーキを踏む
2.左足でブレーキを踏みクラッチはつながったまま右足でアクセルを煽る
3.左足でブレーキを踏みクラッチはつながったままギアを下げる


#動画はすべてST162コロナクーペで2007/7/7撮影

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